河川・鉄道横断技術

対応範囲

  1. 橋梁添架管路工事
  2. ケーブル専用橋工事
  3. CVTケーブル架空横断工事
  4. 架空線横断工事
  5. 推進管路工事

1.橋梁添架管路工事

橋梁添架管路工事

一般的に車道に埋設された管路(地中送電線路)は、横断物(河川, 鉄道など)に差し掛かると掘削できなくなることから、ルート上の道路橋の側面に電線管を敷設(橋梁添架管路)し送電線路を構築します。道路用橋梁への添架は他の横断工法に比較して工事費は安くなりますが、橋梁の構造・荷重条件・老朽度などから制約を受ける場合があります。

橋梁添架管路支持材の検討

既設橋梁が管路を添架することで荷重を受けた場合でも強度上問題ないことが必要となります。そのため、管理者へケーブル、支持材、管材の重量を通知し、許容範囲内であるか確認いただきます。一方、構造計算書などが現存しないような古い橋もあり、復元設計や、シュミットハンマーによる現状のコンクリート強度などを調査する場合もあります。コンクリート製の橋の場合、コンクリート強度が満足していれば、管路の支持材をコンクリートにアンカーボルトで固定する設計を行います。鋼製の橋の場合、一般的に溶接は認められませんので、溶接以外の支持金物取付方法を検討する必要があります。

橋梁添架管路設計

橋梁の取付両端部(埋設管路との接合部)は管路線形が複雑となるため数mの間は、曲げ加工が可能、かつ、せん断強度が高い管路が必要になります。
また、橋梁自身の伸縮, 振動, 角折れなどに追従させる設計が必要となります。さらに、管路が日射を受けることで内部に熱がこもり、ケーブルの送電許容電流を低下させることになるため、これらを踏まえた設計を行います。

2.ケーブル専用橋工事

ケーブル専用橋工事

既設橋梁の強度不足や管理者の承諾が得られないなどの理由から橋梁添架工事が困難な場合に専用橋工事を適用する場合があります。専用橋というように電力ケーブル専用の橋を新設し専用橋へ管路を固定、両岸を地中管路で繋ぐことで、ケーブルを引入れることが可能になります。

専用橋構造設計

専用橋工事では現地測量・地質調査のうえ、専用橋構造物設計・強度計算、基礎設計などの設計や、収容する電線路設計(送電容量検討)業務が必要となります。専用橋の形式は大きく4つ(圧延鋼げた橋、パイプビーム橋、プレートガーダ橋、トラス橋)に分けられ、河川幅やケーブルや支持材の重量などから設計を行い形式の選定を行います。

専用橋管路設計

専用橋工事も添架管路と同じように専用橋自身の伸縮量に追従すべく、管路にも伸縮継手などを設ける必要があります。また、両端部に接触防護の柵(フェンス)を設け、第三者の侵入を防止する必要があります。

3.CVTケーブル架空横断工事

CVTケーブル架空横断(吊架)工事

一般的には66/77kV以下のCVTケーブル(注:導体サイズは限定される)で選定可能です。横断物(河川、鉄道、国道など)の両岸に電柱(コンクリート柱または鋼管柱)を建て、この電柱間にメッセンジャーワイヤーを張り、CVTケーブルを吊架(ラッシング)することによりケーブルを延線します。

弛度計算・強度計算

両岸に建てた電柱間にワイヤーを張りこれにケーブルを支持させることになるので、電柱の強度計算が必要です。また電柱間に張るメッセンジャーワイヤーの太さを選定する必要もあります。これらはケーブル種類や径間長、弛度、風圧、積雪荷重などの条件のもと設計を行う必要があります。FENでは、66kV CVT250mm2ケーブルを吊架した電柱間隔で75mの河川横断実績があります。

占用許可

両岸に建てる電柱は、民地内を占用する場合もあり地元住民の理解を得る必要があります。また、河川横断を行うためには河川管理者から占用許可を得る必要もあります。
その他物件との離隔距離の確保など規制についてもクリアする必要があり、これらを十分に検討し適切な設備形成をする必要があります。

4.架空線横断工事

絶縁電線架空横断工事

22/33kV以下の電圧の場合OC線、ACSR-OC線、AL-OC線などの絶縁電線が選定可能です。CVTケーブルで横断の難しい長尺スパン(目安100m以下)の河川や崖等も、電柱が建てられるような場所さえあれば絶縁電線による横断も提案できます。鉄塔のようなコストをかけたくない、あるいは用地取得が困難で小スペースに納めて長スパンを横断したい場合に有効です。

裸線架空横断工事

電圧問わず硬銅線、硬アルミ線、ACSR線、TAL線などの裸線が選定可能です。長尺スパン(目安100m以上)の河川横断や、大容量(大サイズ、多回線など)を流す場合に有効です。鉄塔用地が大きくなること、66kV以上では地中線との分岐スペースが必要になることなど、電柱を支持材とする設計よりも検討に時間がかかります。

架空線横断技術検討

径間や既設物からの離隔や道路高さなどの周囲環境・積雪荷重や風圧などの気象環境・コスト・電流容量・工法など条件に合わせて最適な支持材(鉄塔、電柱)・電線・部材仕様を選定し、強度検討、装柱設計、位置出し、工法などを考える必要があります。

5.推進管路工事

推進管工事

非開削による管路敷設を行う必要があるところ(主に、国道横断、鉄道横断、ボックスカルバート(水路ほか)横断、河川横断など)に、小口径推進管が適用されます。FENでは、深度11m、推進長94m、推進管径φ508mm他、多数の実績があります。

推進管(鞘管)技術検討

地質調査を発進立坑側、到達立坑側のそれぞれ行い推進区間の地層を想定します。計画深度における地質および推進管の口径によって最適な工法(削孔マシン)を検討します。推進管には、鋼管あるいはヒューム管が用いられ、それらを鞘管とし、内部に電力ケーブル用と通信ケーブル用の管を送り込み空隙を充填させ仕上げます。回線数が多く、管路が多条数となった場合でも鞘管の口径を変えることで対応できます。